NGS(Next Generation Sequencing、次世代シーケンス)は、DNAの塩基配列を超高速で読み取り、解析することです。
NGSが世に出る前、ヒトゲノムをすべて解析するヒトゲノム計画という世界的プロジェクトでは、ヒト一人のゲノム情報をすべて解析するのに、4,000億円と13年という膨大なコストと時間がかかっていました。それがDNAを超高速で読み取る機械、次世代シーケンサーの出現により、今や10万円以下と数日でヒト一人のゲノム情報を明らかに出来る時代になっています。
NGSの発展により最も期待されているものの一つに、プレシジョン・メディシンがあります。従来はある疾患に対して治療法や薬が選択されてきましたが、薬の効果は個人差があり、投与するまでどの程度効果あるか分からないことがありました。それがNGSの普及により遺伝子解析を行うことで、効果の期待できない薬の副作用を回避し、適切な薬のみを投与し治療を行うことが出来るようになってきています。
ただ遺伝子検査を受けても対応できる薬が見つからないケースも存在し、また予期せぬ遺伝子結果が明らかになってしまうなど、課題も残されています。現在も世界中で、研究や新薬の開発が早急に進んでいる状況です。
プレシジョン・メディシンは、2015年に当時アメリカ大統領であったオバマさんの演説において発表され、注目されました。
フラジャイル15-16巻では、がんゲノムをテーマに取り扱っています。遺伝子検査の課題にも向き合って書かれており、個人的におすすめです。
ちなみに塩基配列を解析する手法をDNAシーケンスと呼び、NGSの手法が革命的であったことから、次世代シーケンスと呼ばれるようになりました。今や次世代ではなく標準的な技術となったため、大規模シーケンス等の別名称で呼ぶべきとの声もありますが、次世代シーケンスやNGSの略称が定着して変更が難しいようです。