NGS(次世代シーケンス)実験の評価:ライブラリー調製編

NGS(次世代シーケンス)実験では、結果を取得するまで、サンプルの抽出からライブラリー調製、NGSによるランとその解析など、多くの工程が存在します。

本記事ではNGS実験工程のうち、ライブラリー調製の評価と判断を行うポイントに関して、紹介します。

測定方法の比較に関しては、別記事でも紹介しています。

ライブラリーのサイズ分布

ライブラリーのサイズ分布を確認します。ゲル電気泳動でも評価を行うことが可能ですが、BioanalyzerやTapeStationを使用すると、より詳細な解析が可能です。ライブラリーサイズ分布は均一であることが理想的です。特に目的より短い断片が確認される場合は、プライマーやアダプターのダイマーが発生していることが多く、特に短い断片はIlluminaシーケンサーでは優先的にシーケンスされるため、注意が必要です。

Final library trace examples for Illumina Library Prep Kits

ライブラリーの濃度評価

ライブラリーの濃度を正確に測定します。濃度の測定には吸光度測定やフルオロメトリーなどの方法がありますが、測定方法によっては正しく測定できていない場合があるので、注意が必要です。正確に測定できていないと、ランに適正なライブラリー量を使用できず、結果に影響があります。

コンタミネーションの評価

ライブラリーには不純物(アダプター、重複配列、DNA断片以外のもの)が含まれていないかを評価します。特にアダプターのコンタミネーションは問題となります。アダプターが残っていると、正確なリードを生成する際に干渉する可能性があり、また別のサンプルに使用しているインデックスがクロスコンタミすると、実験自体に大きなミスリードを引き起こす可能性があります。インデックスのクロスコンタミは、Unique Dual Indexを使用する、コントロール配列を入れる等で検出することができます。